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神奈川県選抜メンバーの合宿がようやく終わった。
流川は自分の家には向かわず、何故か当然の顔をして花道の家についてきた。
帰る道中、ずっと不機嫌に押し黙ったままの流川を
半ば不審に
半ば疲れから面倒に感じながら
花道は黙ってついてくるにまかせていた。

ドアを開け
広くもない玄関を抜けて自室に入った途端
後ろから流川が花道の首を腕でロックしてきた。

「・・・ぐっ、なんだよてめーは!」
「・・・むかつく」
「何が!意味わかんねーよ!ちょっ、放せよ!」
「あんま仲良くしてんじゃねー」
「はぁ? ・・・何言ってんのお前。ちゃんと意味が通るように話してみ?」
「せんどーとか、野ザルとか・・・あんま気ぃ許してんじゃねー」
「はぁぁ?何言ってんのお前?ばか?」
「ばかじゃねー。見ててむかつく」
「・・・は〜〜・・・ ・・・そんで帰り道ずっとむっつり黙ってたんかよ」
「わりぃか。むかついてたんはずっとだ」
「・・・ばーか。ばか過ぎお前。何機嫌悪くしてんのかと思ってたらよ〜・・・」
「ばかじゃねーつってる。むかつくもんはむかつく。今度から無視しろアイツら」
「・・・あいつらの心配する必要なんてねーよ。んなこと考えてんのはてめーだけだ」
「そーじゃねーからむかついてんだろ」
「・・・あ〜あ・・・なんでオレのこいつはこんなばかなんだよ・・・」
「・・・何笑ってる」
「途方もねーばかだけど、ちょっと可愛いから許す」
「・・・んじゃ、あいつらといちゃつくのやめんのか」
「いちゃ・・・って・・・ ほんっとばっかだな〜〜・・・お前。可哀想」
「やめんだな」
「はいはい、・・・って言うと思うか?あいつらと仲良くするかはまた別問題だばか」
「・・・・・・」
「怒んなよ。『女房妬くほど亭主モテもせず』って言うだろ」
「・・・今オレが女房になってたのか?」
「おっ、いいぞ。今ちょっとカシコかったぞ」

さらに腕のロックをきつくする流川に
花道は爆笑で応えた。
いつも流川の心臓を射抜く笑顔で。